日本のバイオ社会の夜明けは近い??

2020年10月26日に菅前首相が所信表明で、「2050年、温暖化ガスを実質ゼロにする」という目標を掲げて丸2年、街にはSDGsバッヂを付けた金融関係者が歩き、ESG投資なる大言が紙面を賑やかしている。

日本の環境調和プラスチック業界もやっと夜明け前から日の出となってきたが、まだ水平線には雲がかかっているようだ。世間一般には「脱カーボン」という言葉により、それまでもてはやされていた石油由来プラスチックがまるで悪者のように扱われ、石油化学という言葉もはばかられるヘンテコな世の中になってきた。確かにこれまでのように石油を垂れ流すような社会はまずいとしても、大切に使う、何度でも使うといった人間の知恵で利用することが大切なことである。

プラスチックの世界では、サトウキビから砂糖をとった後の廃糖蜜(モラセス)を発酵させてエチルアルコールをつくり、エチレンに変えて重合し、お馴染みのポリエチレンを作るという技術が実用化されている。正真正銘の植物由来のバイオマスポリエチレンである。このポリエチレンは成形し使った後に燃やしたとしても、排出される二酸化炭素分は空気中でまた植物に吸収され例えば元のサトウキビの成長に使われるため、典型的なカーボンニュートラル・サーキュラーカーボンであり、二酸化炭素は実質ゼロということになる。バイオポリエチレンを炭素14という方法で分析するとちゃんと「植物由来です」という証明ができる。これぞ人間の知恵・技術である。

近年北欧の森林樹木から採れるトールオイルという油や、揚げ物料理に使った後の廃食用油、つまり元はヒマワリとかナタネとかの植物油、を集めて原油に混ぜて石油精製の常圧蒸留装置にチャージし、出てきたナフサ留分を混合植物油の割合量でバイオナフサと名付けて使うという、ポケットから鳩が出る手品のような手法が、国際的に流通し始めた。バイオナフサを原料にしたポリプロピレン等の樹脂やその他の製品に、「バイオ」の接頭冠詞を付けてバイオマス由来のモノだと言い張るのだ。このプラスチックを炭素14分析にかけても植物由来という証拠は出てこない。当たり前でたぶん植物油は蒸留装置では灯軽油留分として出てくるだろう。もちろん原料マスバランスではバイオマスとこじつけられるかもしれないが、私はこれらを「ナンチャッテポリプロピレン」と呼ぶ。そして石油由来のモノと全く同じでも国際的な認証を与えるため、輸入から成形・販売に至る全てのビジネスチェイン業者から認証料を取って認証を与えるという、みかじめ料的悪徳商法に似た国際機構を作るという。嘘も100回つけば本当になるということか。

しかしもっと大きな視点で見ると、バイオマス航空燃料(SAF)の要望の方が勝っているとみてよいだろう。たぶん植物油からの留分はジェット燃料の留分に近いバイオマス燃料であるに違いない。2050年までにCO2実質ゼロを実現するには、航空燃料は日本で2,300万kLが必要という。空中にばらまかれる二酸化炭素がバイオマス由来という方が、乗客にとってもカーボンニュートラルの免罪符的意義がある気がする。

今アイ-コンポロジーが開発・製造している「Biofade」「i-WPC」はカーボンニュートラルを重要視した商品である。特にBiofadeはバイオマス由来度が高く生分解性が優れるという特長がある。なにか後世に残せる良い技術を作りたいという願望だけで、これまで走ってきたのだが、日本の世の中がやっと欧州の尻尾を視野に入れたところで、まさに日本の夜明けがちらっとみえたところである。早く頼りになる次のランナーにバトンを渡したいとも思う。日本人よ、夜明けだ早く起きなさい。

2022年12月                    三宅 仁

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